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コラム(H30.3.22)

学べる背中

 前回話題にした電子辞書を私が使い始めたのは,私が弁護士になって初めて入った法律事務所の所長弁護士(蒲田豊彦弁護士)の影響だ。蒲田先生(弁護士同士で「先生」と付けて呼び合うのはどうかという議論があることは知っているのだが,蒲田先生は私にとってまさに先生なので,こう表記させていただく)が「これは便利」と絶賛してらっしゃるのに触れ,蒲田先生が絶賛されるんだから便利に違いないと思い買ったところ,本当に便利だった,という次第だ。
 蒲田先生からは,仕事においても仕事以外においてもいろんなことを教えていただいたが,もう一つだけ挙げるとしたら「藤沢周平」だ。恥ずかしながら私は弁護士になるまで藤沢周平を読んだことがなかったのだが,蒲田先生が愛読しておられるのに触れ,蒲田先生が愛読されるなら面白いに違いないと思い読んでみたところ,大好きになった。蒲田先生が,歴史小説の書き手と言えば司馬遼太郎もいるけれど,自分は市井の人が主人公とされる藤沢周平の方が好みだ,という趣旨のことを仰っていたことを覚えているのだが,読む度その言葉に共感する。
 「教えていただいた」と書いたものの,蒲田先生から「電子辞書を使ってみなさい」「藤沢周平を読みなさい」と言われた訳でなく,教えていただいたというのはちょっと違うなと思っていたところ,原田國男氏の著書(『裁判の非情と人情』,岩波新書)で「背中に学ぶ」という言葉が使われていて,これだ,と思った。新人弁護士時代,私は,蒲田先生を初めたくさんの先輩弁護士の背中に学ばせていただいた。今も学ばせていただくことしばしばである。翻って,いま私の事務所に新人さんが入ってきたとして,私の背中から何か学んでもらえるだろうか。学べる背中を身に付けたいと思う日々である。
(弁護士 佐藤真奈美)


(写真は,29歳の誕生日のお祝いをしていただいた時のもの)

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