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コラム(2019.12.17)

新聞が好き

【 事務所の場所柄,移動時間が多い。裁判・弁護団会議などのため,一日平均一時間弱は地下鉄に乗っている。私の移動時間の友は「新聞」である。1分でも長く寝ていたい私が家で新聞をじっくり読むはずがなく,また,新聞は一つのテーマの文章量が少なく集中しにくい地下鉄のような空間でも読みやすいため,一石二鳥なのである。
だが,電車の中で女性が新聞を読んでいる光景は,めったに見かけない。「女性は新聞を折り畳んで読むのが苦手」というのがネタとなった宮部みゆきの小説があったが,読み始めて1年,2〜3人しか見かけたことがない。電車で新聞を読む私を母は「おじさんみたい」と揶揄するが,私は読み終わった新聞は駅のゴミ箱に捨ててしまうので,ここ1年新聞ゴミを出したことがない。一石三鳥,やめるつもりはない。】

 以上は,私が弁護士になって丸一年経った頃(2003年)に書いた文章だ。当時は大阪で働いていて,勤務先の法律事務所が天王寺にあったので,淀屋橋や南森町へ行くべく地下鉄に乗りまくっていた。環状線や南海,近鉄にもすごくお世話になった。ついでに思い出すと,勤務先で買ってもらった私の定期券は,自宅最寄り駅の文の里から谷町線で東梅田まで乗れるだけでなく,天王寺で御堂筋線に乗り換えて梅田まで乗れる(西梅田からも降りられた記憶だ)「迂回定期」だった。こんな定期があるのかと感動したのも懐かしい。
 冒頭の文章に話を戻すと,人が電車の中で新聞を読んでいるという光景を見かけることがどんどん減っているように思う。みなさんデジタル版で読むようになっているからかもしれないが,新聞を読む人が減ってきているからだとしたら,新聞好きの私はとても寂しい。新聞が好きな理由を考えるといろいろ思い付くが,いちばん大きいのは,自分が興味を持たない分野について知ることができる点だ。今日日わざわざ新聞を読まなくても必要な情報はインターネットで入手できると言われるかもしれないが,インターネットで情報を入手する場合,読む記事は自分が興味を持つ分野に偏ってしまいがちだと思う。私はスポーツと文化文芸情報ばかり読んでしまうだろうと思う。しかし新聞の場合,興味の有無に関係なく記事があれば読むので,インターネットでタイトルを見てもクリックしなかったであろう話題の記事も読むことになる。ミランダ・ジュライの著書名を借りて言えば,記事が私を選んでくれるところが好きなのだ。
 なんてことを考えているのだが,購読している紙の新聞で読める記事が徐々に減ってきていて,ものすごくガッカリしている。これからはデジタル版の時代ですということなのかもしれないが,私は大きな紙面で写真とともに一覧できるのが好きだ。今年の年始に話題になった宝島社の広告も,朝刊にバンと載るというインパクトが大きかったのではないかと思う。デジタル媒体はなくても毎日届けてもらえる紙で一通りニュースを知れるというのは貴重なことで,心待ちにしている人は多いと思う。Someone still loves youだと思うので,紙の新聞にはまだまだ頑張って欲しいし,私の愛読紙には厚さを取り戻して欲しい。

(弁護士 佐藤真奈美)

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