当たり前の話と思われるかもしれませんが,結婚していない男女は,婚姻することで夫婦になります。婚姻することにより,夫婦は互いに同居する義務,協力する義務,扶助する義務を負います(民法752条)。この扶助義務を根拠として発生するのが,「婚姻費用(婚費)」です。
すなわち,収入の多い配偶者は,収入のない若しくは少ない配偶者の生活を保持するために,「婚姻費用」を支払う必要があります。例えば,夫が家にお金を入れない・・・といったような夫婦間トラブルが生じた場合,妻は夫に対して,「婚姻費用」の支払を求めて家庭裁判所に調停を申立てることができます。
婚姻費用の金額の算定については,裁判所が「算定表」を公表しており(裁判所のHPで公開されています),夫婦の年収,子供の人数と年齢が分かれば,婚姻費用の金額の目安が分かります。
しかし,これはあくまで目安であって,個別的な事情によっては,金額は異なりますので,注意が必要です。
日本では,協議離婚,調停離婚,審判離婚,裁判離婚の4種類の離婚があります。
協議や調停がまとまらずに裁判により離婚しようとする場合,@配偶者に不貞(浮気・不倫)がある場合,A配偶者から悪意で遺棄された場合,B3年以上配偶者が生死不明な場合,C配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき,D婚姻を継続しがたい重大な事由がある場合のどれかがある場合に限って離婚が認められます(民法770条)。
裁判上よく問題となるのは,Dの婚姻を継続しがたい重大な事由があるかどうかです。どのような事情があれば,Dの事情に当たるのかは一概にはいえず,弁護士に相談の際は,結婚生活についてできるだけ詳細に伝えることが大切でしょう。
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